十字架の神学 大宮溥編(2011 教文館)
1. 最近、「フォーサイス神学概論」十字架の神学 大宮溥編(2011 教文館)を読んでおります。この本は英国の神学者フォーサイスの神学を組織神学的にまとめた内容ある書物だと思います。フォーサイスは1世紀前の人ですが、日本では注目度が高いとは言えませんけれど、この本には、フォーサイス学位授与(1895年)百年を記念して出版された論文集が記載されており、彼の神学を組織神学的に、また多角度で学究された論文を熟読するだけでも、フォーサイスの神学を理解するのには大変意義深い良書です。但し組織神学の用語で綴られておりますので初心者には膨大で、理解するには難解でしょう。フォーサイスの原書「祈りのこころ」大宮溥訳(2008 一麦出版社)を先にお薦めします。
私の興味を惹いたのは、イエス・キリストの贖罪論の理解でした。肉体を持つ人間には罪の問題は避けられません。聖なる神が、肉体を持つキリストの十字架の死を通して最悪を最善(悲劇を喜劇)とされ、神の自己義認を示された。それが私たちにとっての贖いとなるという神の人との双方向性の内容が読み取れます。それでは神と私たちを救う神との関係はどのようなものだったのか。つまり神の愛をどこで読み取れるのか。愛よりも聖が強調されているのでは(フォーサイス神学への批判論)? でも真実な愛は同時に聖でもあり、正義でもありますので、その救いの門戸(求める者には赦しの恵みがある)が全ての人々に開かれている以上、神の愛は招いている愛、待ってくださる愛として私たちに神の愛が注がれているのではないでしょうか。それは神の恩寵による救いと理解いたしました。聖書には神は天使を救うおうとされず、人間を救おうとされた(ヘブライ書)、その独り子を給うほどにこの世を愛された(ヨハネ福音書)とありますので、キリストの救いは、罪の問題を意識しないで神の恵みの愛はなく、逆に真実な神の愛は罪の問題を私たちに気付かせるものだと思います。これを悔い改め、回心の出来事と呼ぶのではないでしょうか。十字架を中心にした神学ですから、その恩寵に応える祈りの生活が、信仰の挑戦と考えるので、多くの学ぶべき点と克服すべき点もあるように思います。
松本佐保著「アメリカを動かす宗教ナショナリズム」
2. 前回バイデン大統領の声明を掲載しましたが、アメリカの「現在の政治と宗教」についてもっと知りたい方は、松本佐保著「アメリカを動かす宗教ナショナリズム」筑摩書房 2021年2月10日発売 この本の電子書籍価格¥770円で入手できますのでご参考まで。
アメリカ国家朝餐祈祷会の様子(2018年撮影)
東南アジア文化友好協会 定期理事会
3. 公益法人 東南アジア文化友好協会(ホームページで索引できます)は、戦中、インドネシアに派兵された加藤亮一牧師によって発足した「東南アジアへの戦争被害国への償いの働き」です。日本に学びに来る大学の留学生に宿を提供し、便宜を諮るという小さな働きですが、この70年余りに800名以上の留学生がこの恩恵に与りました。中国、韓国、台湾から始まり、最近はカンボジア、ラオスの青年が来日しています。現在は少人数の利用者しかいませんが、皆様からの献金によって支えられている公益法人です。私も微力ですが22年間、財団理事として組織を支えています。この6月に年度の定期理事会が行われました。
ミャンマーの問題の平和的解決を祈る
4. 最近、ミャンマーでは軍事力によるクーデターが勃発しましたが、私はミャンマーには過去、5,6回訪れたことがあります。ミャンマーは戦前からアメリカのバプテスト宣教師によって布教され、仏教国であるにも係わらず、5%、およそ200万人のクリスチャンがいます。(日本のクリスチャン人口よりも多く、活発な教会活動がなされている)。90%が仏教信者であるにもかかわらず、相互の関係は良好です。またミャンマー軍とも良好で、必ず宗教行事にも軍からも列席するなど調和の上に成り立っていました。それが、今回のクーデターで混乱に陥った背景は、今までの相互調和が崩れ、軍の存在的地位が低下したためだと察せられます。ミャンマーは仏教界でも日本と親密な関係を持ち、親日派です。早く、この問題が平和的に解決できるよう祈る次第です。
聖霊降臨祭(ペンテコステ)
5. 6月6日はキリスト教会の暦では聖霊降臨祭(ペンテコステ)でした。初代キリスト教会の始まりを記念する日曜日でした。メッセージを掲載しましたので、クリックしてご覧ください。
掲載文 聖霊降臨祭(ペンテコステ)についてのメッセージ 使徒言行録1:3-5